産まれた後に神様に挨拶する行事は、古来からあり「産土(うぶすな)詣」といわれていました。
そして、それが現在のように「お宮参り」と呼ばれる様になり、一般化されたのは室町時代頃だといわれています。
江戸時代には、お宮参りの帰途に大老宅へ挨拶に立ち寄る風習などが起こりました。
そしてその後、この武家社会の習わしが一般人の間にも広まりました。
おめでたい家庭の歳事として親戚や知人宅へ、お宮参りの報告と挨拶に出向く習慣が、全国各地へ普及していったといわれています。
季節や状況により異なりますが、神社までは赤ちゃんにとって快適な服装(普段の服装)で行き、境内に着いてから1枚脱がせて、その上に初着をかけます。
待ち時間やお祓いの時間は意外とかかります。
その間、初着の襦袢は付けたままでも外してもどちらでも良いです。
赤ちゃんが暑かったり、寒かったりすることがないように注意を払いましょう。
初着はでんちセット又は、ベビードレスを着た赤ちゃんの上から優しく掛けます。
初着の紐を父方のお祖母ちゃん(お母さんや、母方のお祖母ちゃんでも)の肩から背中に回し、しっかり結んでおきましょう。
地域によっては、この紐に扇子やでんでん太鼓などをぶら下げ、縁起をかつぎます。
昔はお宮参りが終わったら、挨拶回りをするのがしきたりでした。
現在でも赤ちゃんのお披露目の意味もあり、近くの親戚やご近所に挨拶をすることはあります。
母親の健康状態や子供の体調もあり、状況によります。
お参りのあとで自宅でお祝いをしたり、レストランで会食をしたりする場合が多いようです。
赤ちゃんが疲れたりしないように十分注意しましょう。
大阪府では、お宮参りの前に親戚回りを行なう風習もあります。
また、お宮参りの後に内祝いを持参して挨拶に回ったりもします。
そのときに親戚は、魔よけのお守りやお金に恵まれるようにと、でんでん太鼓や犬張子、宮参り扇子、紐銭袋を用意します。
これは赤ちゃんの祝い着に、結んであげるための物です。
祝っていただいた親戚や知人に、赤飯等を添えて挨拶に出向くこともあるようです。
近所の子供たちに仲間入りの意味をかねて、お菓子を配ったりする地方もあるようです。
一般的に出産祝いを贈っているので、お宮参りのお祝いは、特にする必要はありません。
ぜひ贈りたいという場合は3千円ぐらいを目安にします。
表書きは「御祝」「祝御宮参」。
水引は紅白で蝶結び、のしつきです。
お返しは必要ありません。
内祝いは、お赤飯に鰹節などを添え、お宮参りの後の会食後に渡します。
原則として、お宮参りの内祝いは当日にお返しします。
ホテルやレストランなど外で会食をする場合は、クッキーに鰹節などを添えます。
内祝いの予算は2千円から3千円くらいです。
両親・祖父母の衣装は、基本的には赤ちゃんの服装に左右されます。
赤ちゃんが正装の祝い着の場合は、それに揃えた衣装にします。
両親、祖父母の衣装
○祖母・母親
以前は、黒留袖と決まっていました。
赤ちゃんが和装の場合は、現在では色無地の一つ紋や訪問着、付け下げでも良いようです。着るときは着物の柄を見たりしましょう。
柄にそんなに格がなくても、帯で格上げをしたりできます。
色々と考えて、着ましょう。
考えるのが面倒くさい場合は、色無地でしょうね。
色無地も今は晴れの日、ケ(褻)の日、喪でも使う物もあります。
たまに、小紋の方も見かけますが、避けた方が良いと思います。
小紋は普段着です。
小紋のイメージは、ワンピースな感じ。
ワンピースはお洒落着程度の物から、入学式に行ける程の物がありますよね。
着物のTPOのは、着物と帯の柄によって決まります。
柄によっては格のある物もあるでしょうから、いけないとはとは言えませんが、無理して着物を着るくらいなら、スーツの方が無難だと思います。
洋装ではスーツ、ワンピースなどに、真珠のアクセサリーの人を、よく見かけます。
ただし、赤ちゃんが正装の祝い着の場合は、祖母や母親は紋付の礼装で付き添うほうがよいでしょう。
○祖父・父親
近所の神社で見ていると、ダークスーツが一般的です。
晴れの日だからか、明るい色のネクタイと、明るめの無地のスーツと言う人もいました。
最近は和装ブームだからでしょうか、和装のお父さんもいるようです。
神社で記念写真を撮る場合は、その方が絵になります。
本来はお宮参りとは新しい家族を、自分の家の氏神様に紹介・挨拶する為に、お宮参りするのです。
だから、出生地または、住んでいる地域の氏神さまにお参りします。
最近では昔のような、新しい氏子となる儀式的な意味合いは薄れてきています。
近所の人に紹介を兼ねて、回るなんて人もいないのではないでしょうか?
今では氏神さまをお奉りしている神社に、お参りしなくても良いと言われています。
有名な遠方の神社でも、かまわないとされています。
実際、地元の氏神さまの神社ではなく、有名神社に参詣する人も多いようです。
それでも本来の趣旨を考えると、氏神さまにお参りするのがいいでしょう。
神様の事情が人と同じとして、考えたら・・・。
あんまり遠くへ行くと、神様も面倒を見るのは大変でしょう。
有名な神様は色々と忙しそうだし、近所の神様に面倒見て貰うのが一番でよね。
それに生後間もない赤ちゃんの体調を考えても、家の近くの方が良いです。
何より心配されるのは、産後に骨盤のダメージを受けている、お母さんの方が心配されます。
この時期にケアーを怠ると、産後太りを助長します。
骨格的に痩せない・尻が大きい体格に変わりますので、外出は短時間にしましょう。
男の子は羽二重の紋付で縁起を担いだ物を使います。
多い柄は・・・
鷹(強く賢い鳥 「力」の象徴)
鶴(長生きする鳥の代表ですね)
富士山(理由が必要ないくらい縁起のいいものですね)
波(青海波をイメージする末広模様)
植物(松 ・ 竹など)
などの、おめでたい絵柄の熨斗目模様が多いですね。
*熨斗目:腰の辺りと、袖の下の方に筋・縞・格子などの、模様がある物
男の子の初着には家紋を入れます。
両胸(2ヶ所)・背中(1ヶ所)・裏側両袖(2ヶ所)の合計五ヶ所に紋を入れます。(五つ紋)
紋は赤ちゃんの父親の家紋を入れます。
女の子はちりめんの花柄や友禅模様。
緋色や、桃色の鮮やかで見ている人に、暖か華やかな色彩が多いです。
昔はこれらの衣装は仕立て直して、七五三に使っていました。
そう考えればどんな色や、柄が多いかは想像がつくと思います。
最近ではそういった古い慣習にこだわらない人が多いようです。
略式のお宮参りを希望している両親の希望に添い、レンタル衣装や、ベビードレス(普段にも使用できる)にケープを掛けたものを贈ったりします。
昔は、祝い着を妻の実家が贈っていました。
しかし、赤ちゃんが正装をする場合は、連れていくお母さん、お婆ちゃんは和装が望ましくなります。
産後に着物の準備をするのが煩わしい天候(梅雨など)・状況(両親だけのお参り)であったりする場合は、着物を避けるために、贈る衣装を略装にすることもあります。